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加藤 千明
JAERI-Research 2003-013, 143 Pages, 2003/08
本論文は核燃料再処理環境中におけるジルコニウムの応力腐食割れ(SCC)に関する研究成果をまとめたもので、全文7章から成っている。1章では背景及び目的を述べた。2章では試験装置を説明した。3章では沸騰伝熱面においては硝酸の酸化力が高まり沸騰伝熱面においてSCCが生じる可能性を示した。4章ではSSRT試験からSCC感受性は硝酸濃度と温度により大きくなり、切り欠き部でSCC感受性が大きくなることを示した。また、SCC感受性は結晶配向性に影響され、圧延方向と割れ進展面が一致する面で大きくなることを示した。5章では、溶接部のSCC感受性に関して(0002)面の存在量が多いHAZ/母材境界部にてSCC感受性は高くなることを示した。6章では、硝酸の高い酸化力発生機構に関して考察し、沸騰伝熱面における酸化還元電位の上昇は、沸騰バブル相にNO等のガス状窒素酸化物成分が移行し溶液から絶えず排除されることでHNOの熱分解が加速されることにより生じることを明らかにした。7章では、総括を述べた。
熊丸 博滋; 藤井 幹也*; 下桶 敬則; 田坂 完二*; 久木田 豊
Thermal Hydraulics of Advanced Heat Exchangers, p.31 - 37, 1991/00
(密着)二重管型熱交換器(蒸気発生器)の安全性を向上させるため、熱サイフォン式二重管型熱交換器を提案する。熱サイフォン式二重管型伝熱管の伝熱性能を調べるため、1次系流体、作動流体、2次系流体に、沸騰水、減圧した水、室温流動水をそれぞれ用いて実験を行なった。実験で求まった最大総括熱通過率は、熱サイフォン部内の全外管表面で沸騰かつ全内管表面で凝縮と仮定した簡単な計算手法により求めた結果とよく一致した。この計算手法により実炉条件に対して求めた熱サイフォン式二重管型伝熱管の伝熱性能は、(密着)二重管型伝熱管の伝熱性能とほぼ等しくなった。総括熱通過率と充填率の関係を予測する計算モデルも、本論文中に提案されている。
M.Li*; 伊藤 治彦; 白石 忠男; 斎藤 隆; 雨澤 博男; 板橋 行夫; 市橋 芳徳
JAERI-M 90-190, 35 Pages, 1990/11
キャプセルでの照射試験において、低温・均一温度照射を実現するために、JMTRのキャプセルにヒートパイプを利用することを計画している。そのためには比較的低温(100~300C)で作動し、小径で高熱流束が得られるヒートパイプが必要である。本報告書は、このような条件に適合するヒートパイプの構造をサーベイし、その性能を知るための計算評価をまとめたものである。本計算評価は、軽水炉で最も使用し易い、水を作動液としたヒートパイプについて行なった。計算の結果、作動温度が200C以上では、溝付ウイックを有するヒートパイプ又はウイック無しのヒートパイプが、高熱流束を得るためには適切であり、作動温度が120C以下の場合、金網ウイック付きのヒートパイプが優れていることが分かった。
須藤 高史; 村尾 良夫
JAERI-M 83-140, 63 Pages, 1983/09
本報告書は、大型再冠水効果実証試験の中の円筒炉心試験装置による第1回試験(C1-1、Run010)に注目し、ループ抵抗の再冠水挙動に与える影響を調べたものである。本試験では、ポンプ模擬部オリフィス径を小さくし、ループ全体の抵抗を、基準試験(C1-5)より約40%大きくした。本試験と基準試験とを比較し、次の事が得られた。・ループ蒸気流量は、ループ流動抵抗増大のため、約20%減少し、炉心冠水速度も同様に約20%減少した。・この結果、炉心熱伝達率は低くなり、ターンアラウンド時間、クエンチ時間はともに長くなった。・炉心発熱体の到達最高温度は1088Kであり、これは基準試験結果より50K高い。
須藤 高史*; 村尾 良夫
JAERI-M 83-121, 101 Pages, 1983/08
大型再冠水円筒炉心試験では、一次系の減圧過程を含む再冠水試験をリフィル模擬試験と呼んでいる。Cl-4では系を0.6MPaから0.2MPaに減圧させながら、ECC注水を開始し、Cl-15では、蓄圧系注水終了後窒素ガスを更に注入し、その影響をみた。得られた主な結果は次のとおりである。・減圧過程では、下部プレナム内の飽和水のフラッシングがみられた。・サブクール水のコールドレグ注入により、蒸気凝縮が生じ、減圧過程中に、健全ループ中い多量の蒸気が流れ、圧力容器減圧を加速した。・炉心蓄水量が初期に小さく、炉心入口流体温度も高くなり、基準試験(C1-2)に比べ、炉心熱伝達が低くなった。・窒素ガス注入による顕著な影響は観測されなかった。
須藤 高史; 村尾 良夫
JAERI-M 83-115, 98 Pages, 1983/07
本報告書は、大型再冠水効果実証試験計画の中の円筒炉心試験装置によるC1-18(Run37)とC1-8(Run17)両試験に注目し、ループシール部留水の再冠水挙動に与える影響を検討したものである。得られた主な結論を次に示す。・炉心で発生した蒸気は、ループシール部留水を再冠水後32秒で押し出して流れはじめ、65秒で押し出してしまう。・ループシール部が水でシールされている間は、炉心蓄水は低く抑えられ、炉心内熱伝達は向上しなかった。そのため、ターンアラウンド温度は高くなった。・ループレール部留水を押す力は、ダウンカマ内蓄水類により得られる。そのため、この留水を押し出し、蒸気が流れはじめるまでの時間は、ECC水の注入流量に影響された。